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DETACHMENT

ひさしぶりに見たDVDがとてもよかったです。
『デタッチメント やさしい無関心』

ほんとーーーに暗くて重たくて深刻な映画なんだけど、名作だと思います。
(ネタバレありっす。)
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Detachment : 分離、孤立、離れること、超然とした/無関心な態度

主人公のヘンリー(エイドリアン・ブロディ)は、短期派遣される臨時高校教師。
必然的に辞める教師が続出すような学力底辺の荒廃校に派遣されることが多くなる。

ストレスにまみれ子供への愛情も教職への熱意も失ってしまった教師、
まだ若くて分別のない生徒達、荒れ果てた学校
そんな中を渡り歩く彼は、反抗的な生徒達の扱いにもなれている。
突き放した態度、冷やかな言葉でデタッチメントに人と接するのだけど
淡々としたでもちょっと普通とは違う授業をする。

この混沌とした世界で現実的に生きてかなきゃいけないのに
ほんとうに必要なことを伝えようとする彼のクラスに、生徒達は耳を傾けだす。
生徒達は、他人のことをよく見てるし、いろんなことを敏感に感じ取る。
誰が本当の理解者で、信用に足りうるのか
短期間にクラスは秩序を保ちはじめる。
でも決して生徒個人個人には深入りはしない主人公

ヘンリーは、幼い頃のことで深い心の傷を持つ
作中、何度も彼を苦しめ続ける過去の映像がオーバーラップする。
母と二人、祖父の家に暮らす様子
あなたを祖父から守るといった母はバスルームで自殺する
その祖父は今、生きる死者として老人ホームにいる
作中明言はされないが、実は祖父と母とが不義の関係にあったのが伺える。

深い傷ゆえ壁を作り人間関係や世間とはデタッチメントな関係を維持することで、心の安定を得て生きてきた彼
でもその奥にあるヘンリーの純度の高いやさしさが少しずつ見えてくる。
表面的にはとても冷ややかなのだけど、
深い部分では真摯でものすごくエモーショナルだということも

生徒達に、なぜ学ぶのかを説くシーンがすごく良かった。
普段は寡黙で感情を出さないヘンリーが
人間っぽさを表出させ熱くメッセージを伝えてる様子に圧倒される。

"How are you to imagine anything if the images are always provided for you?"
「イメージが常に与えられている状態、どうやって何かを想像することができるのか?」と問い

文学に出てくるUbiquitous assimilation(偏在する同化作用), doublethink(二重思考) などの用語に絡めて、「間違っていると分かっていながら、わざと嘘を信じること。例えば、、、」のくだりから

「幸せになるためには可愛くなきゃ、可愛くなるためには手術が必要、痩せてなくてはならない、有名でオシャレでなくてはならない。マーケティングのホロコーストだ。24時間死ぬまでずっと権力者は我々を騙そうと手を尽くす。だから自分たちを守り、この単純化に自分の思考プロセスが同化されないように
読むことを学ばなければならない。想像力を呼び起こし、意識を高め、信念体系を育てるため。わたし達は皆このスキルが必要。自分の考えを失わないために。」 と説く。

“Assimilate ubiquitously. Doublethink. To deliberately believe in lies, while knowing they’re false. Examples of this in everyday life: “oh, I need to be pretty to be happy. I need surgery to be pretty. I need to be thin, famous, fashionable.”. Our young men today are being told that women are whores, bitches, things to be screwed, beaten, shit on, and shamed. This is a marketing holocaust. Twenty-fours hours a day for the rest of our lives, the powers that be are hard at work dumbing us to death. So to defend ourselves, and fight against assimilating this dullness into our thought processes, we must learn to read. To stimulate our own imagination, to cultivate our own consciousness, our own belief systems. We all need skills to defend, to preserve, our own minds.”




Powerfulです。

そしてひょんなことから、部屋に住まわせる事になってしまった
ストリートチルドレンの売春婦・エリカ(ベッドは別)
エリカとの関係で、すこしずつ彼の壁が溶解していくのかと思いきや、
やはり彼女を自分の壁の外に追い出してしまう。

また、鋭い感性をもつ一人の女生徒が描いた絵は、「顔のない男と空っぽの教室」。
彼の孤独を見抜いていた。
感受性が強く傷ついている彼女をヘンリーは救おうとするも関りきれず
深入りされない事に絶望して目の前で死なれてしまう。

周囲から深い関りを求められるほど
自らのトラウマの大きさに捕らえられ超えることができない。

それでも最後、彼は自身の元から引き離したエリカを尋ねて保護施設へ向かい再会する。
そのショットは、唯一奇跡的に光り輝くシーンだった。。。。けど。。。

繰り返しますがダークでどこまでもリアルです。
だからこそ、良いです。

この作品は高校教育の荒廃する現場が舞台なのだけど
それは表層的なもので、
教育だけがテーマの映画ではない。

多かれ少なかれ誰もが何かを抱え、痛みを感じ、
自分ではどうしようもない状況や混沌の中生きている。
そんなvulnerableな人間が、人と関っていくこと、
その中にある一縷の光を描いた映画だと思いました。
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たまに見ると、やっぱ映画っていいなと思います。
時間作ってもっと見よう。

by snow-ocean-moon1 | 2016-02-02 23:44 | 瞬間日記

日々の記録とか、覚えておきたい記憶とか。。。


by snow-ocean-moon1