2013年 08月 23日
すべてがちょっとずつ優しい世界
静寂と闇に支配された小さな島の小さな村。「くらやみ村」と呼ばれるその村は、夜が明けず、収穫はわずか。年に一度のお祭りを祝うにも楽器すらない。誰からも忘れられたその村にある日、街の人がやってきた。村に光をもたらす「ひかりの木」を植えないかと・・・。
震災、原発、地方を寓話的に描いた絵本のようなマンガです。
作者は、広島出身で震災後に東京から広島へ移住した西島大介さん。
今年の広島本大賞受賞作品だそうです。
直接的に広島や原発を描いた物語ではないのですが、強いメッセージ性がありつつ、
大きな問題を易しい気持ちでとらえさせてくれる物語だなと思いました。
とても深くて、
読後、うーん。となった。
セリフも絵もとてもシンプルで
ものすごく寓話的です。
いろんな捕らえ方ができ暗喩に満ち、深い余韻を残す。
タイトルのとおり
優しくない人なんて居なくて
みんなちょっとずつ優しいのに
その選択の積み重ねは
思っても見なかった状況へと私たちを連れて行く。
他者に対し、村に対し、良かれと思ってした判断。
それらぜんぶは間違ってはいないのだけど。
ひさしぶりに雨の降る夜にぴったりの
心がしーんと静かになって
深く考えさせられる作品でした。
子どもにもいいかも。
というか、読んだ子達がどんなことを感じるのか話してみたいなと思いました。
by snow-ocean-moon1
| 2013-08-23 22:02
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